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『エロマンガ先生』にみえる熱意。

エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)

 オススメ度★★★★☆(4.0)

 

前巻の感想はコチラ↓

『エロマンガ先生』にみえる真実。 - 青豆ほーむ

伏見先生による新シリーズ、記念すべき第一巻が非常におもしろかったので間を置かずに購入しました。……したはいいんですが『左巻キ式ラストリゾート』を読み終えるのに精神的な労力を割きすぎてしまい、読み始めるのに時間がかかりすぎました。おもしろかったんですけど、神経を逆撫でるような暴力と肉感的な性の描写というのには耐性がなくて、1ページめくるごとの負担が尋常ではなかったのです。

すいません、関係ないですね……『エロマンガ先生』のレビューに戻ります。

 

エロマンガ先生』第二巻ですが、結論から言うと今巻もちょうおもしろかったです! 妹という類型化された記号はエロゲやアニメ、ラノベなどで大量に消費したために若干食傷気味だったのですが、ほどよい読み応えで3時間程度で読み終えることができました。

謎が謎を呼ぶという伏線を張り巡らせる構成も好きなのですが、主軸となる謎は巻ごとに徐々に情報を提示することで解明し、その巻のみに生じる伏線は、きちんとその巻で回収する、という構成も楽しめますね。文章を読むことが止まらない。やっぱり伏見先生の「読ませる能力」は尋常じゃないですよね。基礎文章力は言わずもがな、なのですが……。ネタバレは避けたいので内容は自重します。

 

新キャラクターも登場して、ハーレムものとしての様相を見せ始めた今巻なのですが、主人公が鉄の意志(バイアスともいう)による紗霧一辺倒のため、準ヒロインに対するフラグクラッシュも見ものですね。毎回ヒロイン振ることになりそうで怖い(笑)。ラノベ作家のラノベを愛する気持ちも共感できて素晴らしかった。

あと相変わらずイラストがエロいです……。エルフ先生がPCに向かってスカートたくし上げてぱんつを披露するさまとか、目隠し緊縛状態でぱんつぬがされてしまうファッションビッチとか……もうダメだ。僕の下半身で屹立しようと鎌首をもたげる黒い獣を曝け出して、扇風機の前で「チンコッッッ!!! タイフゥゥゥゥゥン!!!」とか絶叫しながら風を相殺したい。そんなことしてたら近所迷惑なので足をばたつかせるだけにしておきます。それが社会人としての自覚。

 

それはさておくとしましょう!

 

伏見先生の作品の魅力というか核は、『妹』というジャンルが好きな人のみに通じるゆるいコンセンサス的なものを利用し、オタクの「自己肯定」を促す構成なのだと思います。これは『俺妹』から続いてますね。

部屋から一歩も出ない、イラストを描くのが好きな義妹の自己肯定を助けるために奔走する超良い兄貴のビルドゥングスロマン(成長物語)。最後の一歩を後押しする紗霧と、それに応えようとするマサムネの必死な姿に、恋愛とかそういう俗っぽい感情を通り越した深い絆を感じて胸をうたれました。その絆が逆に二人を閉じ込めてしまっているのでしょうが……。そこは次巻に期待ですね。ってまだ続刊出てないじゃないか!!!!!

 

あともうひとつ。……これは私事なのですが、ラノベ作家が小説家を名乗ることについては、ちょっと抵抗があるんですよね。小説家はラノベ作家より上等の存在であるから小説家を名乗るのはおこがましい、ということではなくて、別の価値観を持つものとして差異を示して欲しい、という願望がぼくにはあるのです。いやまぁ文芸作家とラノベ作家という分け方もあるのかもしれませんが……。どちらにせよ両者を小説家という一括りにするのは違和感があるんですよね。このあたりはどうでもいいことなのかもしれませんが。

 

それでは。