青豆ほーむ

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実写版『黒執事』~漫画原作のポテンシャル~

 黒執事 DVDスタンダード・エディション

オススメ度★★☆☆☆(2.5)  

 

劇場版『ペルソナ3』をレンタルしにTSUTAYAへ。新作3本で500円が300円程度まで安くなってしかも一週間レンタルできるのだぜ……これは借りるしかない……ということで、3本のうちの1本に。最後の1本は実写版『パトレイバー』をレンタルしました。もしかしてぼくは実写化好きなのかもしれない……しかし最近、映画を観ることにリソース割きすぎて読書する時間が取れていないです。少しバランスを取らねば!

 

前置きはここまで。本題。

 

漫画原作の映画はラノベ原作ほどじゃないにしろ当たり外れが多いのは周知のことなんですが、これって原因のほとんどがキャスティングだったり、原作に対するファンの熱い思い入れだったりすると思うのです。要は「原作のイメージを壊すな」ということが原作ファンやアンチの言いたいことなんでしょう。しかしですね、キャスティングあるいは内容が酷かったりしたところで原作のイメージは壊れません。むしろその程度のことでイメージが壊れるのであれば、それまでの愛だったということ。あとねー、映画においては映像によってイメージを打ち立てる、焼き付けることが肝要なのであって、原作のイメージをぶち壊すほどの映像ができれば大成功なんですよ。これはまず前提として頭に置いて映画に向き合ってもらいたい。

 

で感想なんですが、来た、来ました。これですよ、これ。僕が求めていた僕以外誰がこの作品を楽しめるんだというくらい中途半端で意味不明な映画。監督はさとうけいいち、『TIGER & BUNNY』や『鴉-KARASU-』といったヒロイックアクションを制作してきた偉人。80年代の映画を堪能した世代にとってのラッセル・マルケイジョン・カーペンターといった迷匠と同義といっても過言ではないのではないのか。あとひとり共同監督がいたような気がしましたが忘れた。とにかく『黒執事』はぼくにとって「キタコレ!!」と激しく貧乏ゆすりしながら膝を打ちたくなるほど面白かったです。ちょっと褒めすぎな感じはありますね……思い返してみればあんまりおもしろくなかったかもしれない……いや、でも『るろうに剣心』よりは遥かに良い作品だと断言できますよ。

 

CAST

主演は水嶋ヒロ、『仮面ライダーカブト』で天の道を往き総てを司るニートや、ほかには、えーと、この人、なんか代表作とかあったっけ。『BECK』とか? まぁいいや。それと剛力彩芽ですね。彼女の代表作もよくわからない。『ビブリア古書堂』とか『ガッチャマン』とかになりますか。あとの助演俳優たちは意外と豪華でびっくりしました。少なくとも主要登場人物は映画をあまり見ない人でもどこかで見たことのあるんじゃないかと記憶の片隅に残っているような顔ぶれになってます。栗原類、なんかやたら見かけるような気がしますが、あいかわらず演技が酷すぎて見るに堪えません。

 

STORY

たとえば、あなたが映画のあらすじを見て、

「2020年の近未来。世界は西側と東側に分断され、西洋と東洋が入り乱れる架空のアジア。西側の女王に仕える幻蜂家は、女王の命により東側の公にできない事件を追い、それらを秘匿する組織を処罰するべく『女王の犬』として、密かに活動していた」

みたいなことが書かれていたら、いつの時代の設定だと思うだろうか。ちなみにこれ2014年、つまり今年の映画である。すげえ。こんなの70~80年代でぎりぎり通用するレベルの設定で、とても現代で練られたものとは思えない。このアナクロっぷりは感嘆に値します。ふつうの(ふつうってなんだ)感性なら企画段階でこの映画に一銭たりとも制作費を払うことはないでしょう。ボツです。原作にいくら人気があろうが即断即決でボツ。100万回くらいあらすじを読ませて腐った脳みそを作り直させることでしょう。

つまりこれ、通用するかしないかじゃなく、リアリティとかぼくらの時代とはまったく関係のない、乖離した現代のファンタジーなんですよね。あくまで様式としての設定。押井守の『人狼』や、カート・ウィマーの『リベリオン』が作り出したファンタジーのように、原作やアーカイブの中から摘み取った断片を、ファッションとして、スタイルとして、とにかく全部ひっくるめて『様式』として再生産されているにすぎないわけです。斬新かどうかで言えば怪しいですけどね。『リベリオン』で既に開拓されたものではあるし。でも、まさか日本でやるとは思わないじゃないですか。だからぼくは非常に驚いているわけです。冒頭とか本当に懐かしい。

 

アクション面もスタイリッシュでかっこいいです。間違いなく『リベリオン』の「ガン=カタ」を意識してますね(笑)。「俺は日本で『リベリオン』がやりたいんだ!』というしょうもない軽薄なセンスを感じられて仕方がない。このセンスがぼくのツボなんです。

セバスチャンの「悪魔で執事」というご都合主義設定をふんだんに利用した無慈悲なまでの無敵っぷりに、思わず溜息がもれました。複数人が銃を持って取り囲んでいても、ほぼ徒手空拳で向かって勝利する。意外にも『バイオハザード』やその他のアクションでよく見られるスローモーションをほとんど使ってないです。普通にバカスカ銃を撃ちながら、撃たれながらアクションしている。これまた新しくはないがおもしろい。『るろうに剣心』のような冗長で飽きがくるようなものではないです。

 

いやー、ベタ褒めしたようなそうでもないような中途半端な内容になりましたが、ぼくみたいにボンクラで軽薄な、しょうもないアクション映画好きには堪らない作品になってますので、是非観て欲しい! ネットのレビューは悲惨なものですが、ぼくは全力で擁護します!!!!!!!

 

それでは。

 


映画『黒執事』本予告編 - YouTube

 

 

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