青豆ほーむ

チラシの裏

『搭乗者科の最下生』読了。

搭乗者科の最下生 (HJ文庫)

 オススメ度★★★☆☆(3.0)

 

どうも久しぶりに更新しました青豆です。『搭乗者科の最下生』、読了しました。レーベルはHJ文庫、実はこの出版社から出ているものは一度も読んだことがなくて、HPを閲覧してみたところ、ファンタジーに力を入れてるっぽいですね。新人賞で大賞を受賞したというこの作品が初めてとなります。新本格ロボアクションと銘打たれていますが、こちらもどちらかというとファンタジーものにジャンル分けしてもいいのではないでしょうか。

以下、感想。

 

PLOT

まだ、神によって創造されし人間が、天使とともに、その手のひらの庇護のもと、その生を謳歌していた時代。

神によって愛玩動物のように育てられた人間は、彼の与り知らぬところで英知を手に入れ、それを洗練してゆき、科学という信仰をその胸に宿した。神に祈りを捧げることをやめた人間は、やがて離反した。

傲慢な神の怒りを買った人間は、手に入れた英知により、その支配を厭い、抗うことになる。

ーーそれが、神と人間との争いの発端だった。

神の激高は天地に轟き、無慈悲にも地上を破壊し、人間は住処を追われた。機械を制御する力を手にしたものの、それを有効に扱う知恵をもたない人間は、同じく神の怒りによって同族を虐殺された、《魔女》と呼ばれる存在の手を借りることになる。魔女もまたその復讐心から、神に対抗し得る唯一の術を、人間に授けた。

 

人類の敵、《神兵》を屠る、唯一無二の人機一体の搭乗兵器、《逆神機》ヴェリアルの誕生である。

 

Review

文章はフラット。ヴェリアルの操縦適性の高いエリートが通う、搭乗者養成学校と呼ばれる新人育成施設に通う、落ちこぼれの最弱主人公が、最強の魔女とともに下克上をしていく物語。まぁ厳密に言えば、最弱ではなく、能力が高すぎて自分に見合った機体がないだけという、陳腐なオチなのですが、それはそれ。タイトルからして、何となくわかるでしょう。某お兄様作品からタイトルもろパクリですしね。

 

ヒロインのウザ可愛さや、初登場時のロボットの操縦ごっこがなかなかよかったのですが、日常パートにおけるテンションの高さと、クライマックスシーンにおける落差が酷くて、齟齬が生じているんですよね。作者自身「うぉぉぉ!」と雄叫びをあげたくなるような熱い場面を想像し、演出しているつもりなのでしょうが、カタルシスに至るまでの描写が少なすぎます。積み上げるべきところを積み上げておらず、切り貼りしたような印象しか残らない。わりと酷い構成です。

 

設定が重要なロボットものをやるにしては、タイトなページ数に反して、文章量が少なすぎると思いました。もうちょっと腰を据えて、じっくりと執筆していってもらいたいのですが、書き手の心情なんて目には見えないので、これは言ってもしょうがないことですね。新人賞で大賞を取ったということで、かなり期待していたのですが、こうまで無味乾燥な作品がノミネートされるのは、ちょっと危ういんじゃないかなと危惧しています。バカにしているつもりはないんですが、これはちょっとね……。『エスケヱプスピヰド』(比較するのも比較対象もおかしい気はしています)はがっちり硬派厨の心を掴めるくらいの良作品だったのに対し、こちらは中途半端。すっごい中途半端です。ケツが落ち着かねぇ。

 

この作品を機に、もうちょっと「最近のラノベ」事情を探っていきたいので、続いて『モノノケミステリヰ』を読んでいきたいと思います。

 

それでは。

 

モノノケミステリヰ (MF文庫J)

モノノケミステリヰ (MF文庫J)