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『神様のいない日曜日』Ⅰ巻感想

神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)

 

 

入江君人先生処女作(商業作家としての)、『神様のいない日曜日』読了しました。こちらも去年放送されていたTVアニメをDVDで鑑賞してからの購入です。まだ第一巻しか観ていないのですが、やや駆け足気味で世界設定や人物設定がいまいち把握しづらかったので、踏み込んだ心情や背景を知りたくなったんですよね。この判断はあながち間違いじゃなかったです。原作が非常に良かった。原作とアニメ版で相互補完していくことで得られる楽しみのひとつですね。

 

著者である入江先生なのですが、どっかで見たことある名前だと思っていたら、有名ブログ『Something Orange』の管理人である海燕さんがコミケで販売した評論集『BREAK/THROUGH』(電子書籍版もあったはずなので今すぐ購入しましょう!)で対談をおこなった人なんですよね。今にして思えばすげぇ豪華な内容だなと感嘆せずにはいられません……。ほんとすげぇ。

 

肝心の内容なのですが、物語性や寓意性が強く、正直ライトノベルで出すよりも美少女ゲームとして世に送り出してほしかったと、個人的に思ったのが率直な感想です。いや、個人でできる範囲を遥かに超えてしまっているので、偉そうなことは言えませんが。神に見放され(たと解釈し)、不老ではないが不死を獲得し、朽ちる躯をもちながら生ける屍と化した死者(ゾンビ)と、それらを唯一<救う>ことができる存在、墓守。児童文学的ファンタジーを目指したのか、『シュガーダーク』や『ミミズクと夜の王』のような地味な作品となってしまっているのが至極残念。いや別にファンタジーにアクション性を求める方がどうかしているのだけれど。

 

キャラクターや人物同士の関係性も非常に良いですね。さまざまな謎を残しながら、続刊に期待できる構成です。だからこそ、とあるキャラクターの脱落が非常に惜しまれるのですがね、回避できないものであったにせよ、二巻以降は「彼がいない世界」を必然的に内包したものとなってしまうのも、残念でならない。くそっ……これだからビルドゥングス・ロマンはよう……

 

文章の方はわりと扁平だったり、クドかったりしていて癖が出ているのですが、許容できるレベルにとどまっています。5年前の作品でこの文章力であるのなら、いまはきっともっと上達しているに違いない……。

 

アニメ版の、喜多村英梨が熱唱する熱いOPも『Birth』というタイトルセンスともどもかなり良いです。『神様のいない日曜日ワールド』(ダサい言い回しですいやせん)の雰囲気もよく出ている。

 

原作は既に完結しているようなので、全巻まとめて購入したのち、徐々に読み進めていきます。気に入った作家にはどしどし投資しなければね!!

 

それでは。

 


TVアニメ「神様のいない日曜日」 PV

 

 

 

Birth(初回限定盤)

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