青豆ほーむ

チラシの裏

『幻惑のディバインドール~Eye Knows Heaven~』感想

幻惑のディバインドール ~Eye Knows Heaven~ (電撃文庫)

 

 

新人作家夢澤章先生による『幻惑のディバインドール』、読了しました。ぼくは『ローゼンメイデン』然り、ドールを主軸にしたお話というものが好きなのですが、何故かそういった作品は需要がないのか、少ない。人工知能を搭載したアンドロイドが登場する作品ならわりと見つかるんですけど……ぼくが望むのは『イノセンス』に出てくるような【愛玩人形】として消費できるタイプのドールなので……

 

PLOT

世界には“いまここ”にある世界ーー【人間界】以外に、二つの世界が存在した。一つは【魔界】、そしてもう一つは【天界】。魔界には【魔人】、天界には【天人】、人間界には【人】が住まい、お互いの領域に干渉することなく、表向きは平穏な時間を送り続けていた……

天人と魔人の後継者となるべく育成される、人ならざる見習い【ドール】。魔界に住むラシカと名付けられたドールは、自身を構成する素材【奇跡の砂】に、禁忌である人の血を宿し、そのことで魔界を追われ、人間界へと逃亡し、己の欲望を満たすために血を求め続ける。

暴走するラシカを捕獲するため、天界のドール、シュマロマは人間界へと派遣される。そこで出会った主人公・峰城世水に協力を仰ぎ、そして世水はこれ以上の犠牲を出さないため、その申し出を受けることになるのだが……

 

Review

シュマロマかわいいよ、シュマロマ。そういえば名前に【マン】をくっつけたら【マシュマロマン】……どうでもいいかなそれは……表紙がとても良いですね。

ちょっとだけネタバレすると、彼女はマジで役立たずで、情報の伝達とお菓子食べにきただけも同然なので、そのあたりは期待しない方が良いです。あくまで補佐(にもなってないが)。実際に戦うのは一般人である主人公・峰城世水だけです。

文章や構成は、まぁ普通かなぁ。可もなく不可もなく、かといってまったく背伸びをしない、つまりストイックで抑揚のないフツー。いや決して貶しているわけではなく、好きですよ。ぼくはね。

 

一応ハーレムものの要素を抑えてはあるんですが(登場する女の子全員が主人公のことが好き)、無理にバトル要素を加えずに、日常系ーー『ドール育成もの』として世に出していればよかったんじゃないかと。そのあたりもラノベ業界において手薄なのも確かだと思うので。

 

続刊は、期待できないだろうなぁ……。地味だもんなぁ。『人間vs怪物』という期待のバトルシーンも1~2Pくらいしか割かれないし、残念としか言いようがない。しかし新人を育成するという意味も込めてせめてタイトルにも冠している【神の依代(ディバインドール)】を登場させるまでは是非刊行を……無理かなぁ。

 

それにしても著者あとがきに、

“ご感想などありましたら、是非、教えてください。Twitterなどでも呟いていただければ、作者はきっとそこにたどり着きます”

と記されてあって戦慄しました。怖いよぅ……

 

それでは。

 


幻惑のディバインドール 〜Eye Knows Heaven〜|電撃文庫公式サイト