青豆ほーむ

チラシの裏

『モノノケミステリヰ』読了しました。

 

モノノケミステリヰ (MF文庫J)

 

 

読了です。今回からはオススメ度なる指標を記述することはやめにしました。アテになりませんし、何より、自分がどの作品をどう評価したのか、その重要な点を忘れてしまうからです。「あれ……そういえばこんな本読んだっけ?」と偉大なる忘却力によって読んだ記憶さえついつい吹き飛ばしてしまう。不可抗力(歳)なんです……きっと……

で、『モノノケミステリヰ』なのですが、人気ボカロPてにをはによるノベライズ、『カゲプロ』のような音楽・小説・漫画の大々的なメディアミックスですね。公式PVでは既に声優がつけられているようで驚きました。なかなか手が早い。

音楽もなかなか味わい深く、親しみやすいロック調で、韻を踏んだ独特のリズム感のある歌詞や、昭和のかほりがする歌謡曲、といった印象を受けました。あまり好きではない感じですね(褒めてるつもり)。

 

 

PLOT

「“めい”たんていのお通りだ。ひざまずけい」

魑魅魍魎が跋扈する逢魔が時、場所は東京都新宿区神楽坂七丁目、早々と輝き始めた月が一軒の屋敷を青白く照らし出す。

その屋根にふたつの影。

ひとつは詰襟姿の少年。華奢な躯体にとんびコート、黒髪揺れる頭には、学生帽をかぶっている。白磁のように滑らかな肌が、等身大の人形を思わせる。

 

「なんだおまえは。なぜ己が“視え”る?」

そう問うたのは、少年と相対するもうひとつの影。

妖怪と呼ばれ、忌み嫌われる異形である。

視えぬはずの自分の存在を知覚されたことに狼狽えながら、妖怪は更に問う。

「小僧、おまえ……いったい何者だ?」

 

妖怪の問いに、漸く少年が応えた。

「月岡春足ーー妖怪専門の探偵だよ」

 

 

Review

……最近、ちょっと梗概というか、さわりの部分を語るカタチにしているわけですけども、難しいですね。上手いことまとまりません(苦笑)。そこいらはちょいと勉強しながら、少しずつ上達していきたいですね。

で、感想なんですが、この作品、時代設定がいまいち掴めない。いや、寝台列車が登場するあたり、間違いなく1900年以降(明治)なことは確定しているんですが、描写不足なのか古臭い印象が全然ないんですよ。文体やところどころ黴臭さを感じる場面や小道具は出てくるんですけどね。たぶん、具体的な時代設定は考えておらず、自分なりに構成した昔語りなのでしょう。うん、たぶん……。

文章ですが、丁寧ではあります。時代背景が頭に浮かびづらいことを除けば、過不足なしといったところ。流石に音楽を自主制作されているだけあって、リズム感も申し分なく、非常に読みやすかった。不意に差し込まれる言葉遊びも、しつこくなく嫌味にならない程よいバランスで心がほっこりしてきます。翻って、「これ、いらなくね?」と突っ込むこともできますが。

ちょっとだけネタバレですが、ラノベでよくある後半のクライマックスシーンは存在しません。むしろそのお涙や激情を煽るような感動を忌避しているような面も伺える。それはかなり好印象でした。一夜といわず、これからも続くやんややんやの大喜劇。それだけを描いた作品です。

 

ボカロPによるノベライズも昨今は隆盛のようで、それも『カゲプロ厨』なる存在や、それらを糾弾する自称被害者(ホントかどうかも疑わしい)によって、あまり良い印象はないでしょうが、それらは無視して脇に置き、相互にリンクした音楽や小説を同時に味わう楽しみを、少しでも享受していただけたらなと思う次第であります。

 

それでは。

 


【初音ミク】 モノノケミステリヰ 【てにをは】 - YouTube