青豆ほーむ

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『るろうに剣心 伝説の最期編』

漸く、鑑賞しに行くことができました!(まだ観てなかったのか)

あとでわかったことなのですが、この映画、公開日から週末だけ(二日間かな)で興行収入13億円突破したらしいですね。かなりどうでもいい話ですが、それだけ期待されていたということでしょう。確かに、面白かった。邦画アクションとしての出来栄えは、個人的には『どろろ』に匹敵します。

 

で、感想なんですが、

全体的な印象としては非常に作りが安っぽいのですが、極力CGIを頼らない姿勢には映画の「ごっこ遊び」という原則に忠実であるようにも見え、感心しました。アングル、構成、カットを切るタイミング、これら三つの調和がうまく取れていれば、映画の作りの安さなどとるに足らない瑣末なことですよね。画面設計のレイアウト、これに関して日本は、制作費やらCGIを多用して「なんでも見せちまえ」と下品な下心を見せるハリウッド映画よりはセンスが高いような気もします。『パシフィック・リム』? あんなバケモノ映画と比較してはいけません……。

 

キャラクター造形についてですが、これも申し分ないです。志々雄真実に至ってはほぼ原作に忠実に再現されていて(思想がシンプルなだけに再現しやすいというツッコミはさておき)、予告でもあった最終局面での4vs1のアクションシーンは圧巻の一言。マンガのように強くはなく、かといってアニメのように脆くはない、消耗し傷つく肉体性の表現は実写ならではと言ったところ。無限刃のギミックについて明かされることがなかったのが至極残念ですが、それはともかく紅蓮腕が見れてよかった……。ラストバトルだけで鑑賞料の元は取れました。

十本刀の扱いについては賛否両論あるかと思います。実際ありましたしね。個人的には十分な説明がなされていると思います。原作では十本刀の扱いは各キャラの見せ場を作るための噛ませみたいな扱いだったので(魅力的には描かれていましたが)、あっさりしたものになるのは致し方ないこと。そもそもこの実写映画は剣心と志々雄真実の対決を描いたものだと割り切っている節があるので、それでいいんだと思います。尺的にも厳しい。むしろ相楽左之助や弥彦の方が扱い酷くないですか。弥彦はあんな汚らしいジャリガキじゃねぇんだ……左之助はあんな喧嘩好きの馬鹿みたいなキャラクターじゃなくて、もっといっぱい色んなものを背負っているやつなんだ……。

あと、瀬田宗次郎の件ですが、誰だ、過去について一切触れていないだの、あっさりしすぎているだの、いきなり発狂するキ○ガイキャラだのDisってるやつは。ちゃんと説明されているじゃないですか、映像的にも、セリフ的にも。あれで理解できないなら、想像力皆無として明日から白眼視されても文句は言えないですよ。

幼い頃に虐待されたことによって、自身の無能を内面化した人間は、圧倒的な暴力を渇望してしまうもので、かわいそうな被害者よりも、一方的で無慈悲な加害者に憧れる。だからその力の象徴として志々雄真実に仕えることに決めたのです。笑いをともに弱者を蹂躙する愉悦によって、内に秘めた被害者であるかわいそうな自分を抑圧することで、未熟で幼稚な自我を保ってきた宗次郎にとって、思い通りにならないことはノイズでしかない。だから発狂したのです。このあたりは原作よりもうまく表現されてると思ったんですけどね。

 

まぁ、それはともかく、『るろうに剣心』三部作、すべて劇場で鑑賞することができたのですが、出来栄えは満足。改めて『るろうに剣心』は悪役、つまり志々雄一派を鑑賞するためのものだと実感しました! あとは蛇足です。

 

続編、人誅編への伏線はきっちり張っているのですが、ラストカットでぶった切られていると言えなくもないので、そのあたり「このチキン野郎!」と思いましたまる

 

非常に適当になりましたが、それでは。

 

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